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目の病気Q&A/網膜静脈塞栓症の原因・症状・検査・治療【眼科専門医が解説】

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網膜静脈塞栓症の原因・症状・検査・治療【眼科専門医が解説】

網膜静脈の閉塞により網膜に出血が生じ、急激に片目の視力低下や視野障害をきたす疾患です。

検査で閉塞の所見が見られても無症状の場合もあります。網膜静脈閉塞症は閉塞部位によって、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)に分けられます。頻度はBRVOの方が圧倒的に多いです。

CRVOは静脈閉塞の程度によって虚血型と非虚血型に分けられます。一般的に非虚血型の方が虚血型よりも予後は良好です。しかし、非虚血型のうち20%程度は虚血型に移行するため、注意が必要です。虚血型では視力は著しく低下し、0.1以下になることが多いです。

網膜静脈閉塞症では、網膜の虚血部位から放出されるVEGFと呼ばれる血管内皮増殖因子の作用により、様々な合併症が生じます。代表的なものとして、血管新生緑内障や硝子体出血、牽引性網膜剥離、黄斑浮腫があります。
網膜静脈閉塞症は高血圧、動脈硬化、糖尿病を有する中高年の方に好発します。

網膜静脈閉塞症の原因は?

網膜静脈閉塞症は、網膜動脈に生じた動脈硬化が網膜静脈を圧迫することで、血流の悪くなった静脈内に血栓が生じ、閉塞することによって生じます。

網膜の奥(眼の奥)にある篩状板付近では動脈と静脈が外膜を共有しています。ここにおいて動脈が硬くなる(動脈硬化)と、静脈が圧迫され、血栓が生じやすくなります。

この圧迫や血栓で静脈が閉塞すると、突然の片眼性の視力障害をきたします。これが網膜中心静脈閉塞症です。

一方、網膜静脈分枝閉塞症では、網膜内にある動静脈交叉部において起こります。こちらも、動脈硬化によって動脈が静脈を交叉部で圧迫することにより血栓が生じやすくなり、静脈閉塞が起こることで、閉塞領域に一致した突然の視野欠損、急激な視力障害や変視が起こります。網膜静脈分枝閉塞症では無症状のこともあります。

症状一覧

  • 片目の視力低下

  • 視野障害

網膜静脈閉塞症の検査は?

検査は、眼底検査光干渉断層計で行います。

網膜中心静脈閉塞症(CRVO)の場合、眼底検査では静脈の拡張、蛇行、網膜出血(火炎状出血、しみ状出血)、軟性白斑がみられます。非虚血型では虚血型に比べて網膜出血の程度が軽いのが特徴です。また、光干渉断層計では黄斑浮腫が確認できます。さらに蛍光眼底造影を行うと、初期に腕網膜循環時間や網膜内循環時間の遅延がみられます。

蛍光眼底造影では、出血が吸収された後の無灌流領域(毛細血管閉塞域)の確認もでき、これにより虚血型か非虚血型かの診断ができます。逆に、蛍光眼底造影で網膜全体の灌流が良いことがわかると、非虚血型であると診断できます。

網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)では、眼底検査で閉塞した網膜静脈の支配領域に一致した、多数の網膜出血(斑状、火炎状)がみられます。蛍光眼底造影では、閉塞した網膜像脈の蛇行と、多量の出血における蛍光色素のブロックがみられます。

網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症の治療は?

症状がみられる場合に治療の対象となります。

黄斑浮腫の予防・治療として抗VEGF薬硝子体注射が行われ、新生血管の予防・治療のために抗VEGF薬硝子体注射や光凝固療法が行われます。特に合併症の一つである血管新生緑内障は網膜中心静脈閉塞症の虚血型で合併しやすく、予後不良となりやすいです。

したがって隅角新生血管を認めた場合はすぐに汎網膜光凝固を行う必要があります。

 

 

網膜静脈閉塞症に対する抗VEGF抗体注射の効果
網膜静脈閉塞症に対する抗VEGF抗体注射の効果

Q&A

Q 網膜光凝固治療とはどのような治療ですか?

網膜光凝固は、網膜にレーザー光を照射する治療です。レーザー光は網膜色素上皮層のメラノサイトに吸収されて熱を産生します。

この熱により網膜深部の蛋白が凝固・炎症を起こし、やがて瘢痕組織化します。瘢痕化することで、網膜における新生血管の増殖抑制・血管退縮、網膜浮腫の軽減といった効果が期待できます。

適切な照射を行えば、網膜の神経線維層を傷つけることがないため、大きな視野欠損を起こさずに治療できます。

Q 抗VEGF薬硝子体注射とはどのような治療ですか?

VEGFとは血管内皮増殖因子のことです。VEGFは虚血・炎症などを反映して増加し、新生血管の増殖・成長や血管の透過性亢進に関わります。

抗VEGF薬硝子体注射をすることにより、新生血管の増殖や成長を阻止し、網膜出血や硝子体出血を防ぐとともに血管の透過性亢進を抑え、網膜浮腫を防ぎます。

この注射をするにあたって入院の必要はありません。注射をするだけですので、すぐに終わります。当日の入浴は可能ですが、眼に水を入れないようにしてください。なお、注射に伴う出血で白目部分が赤くなることがありますが、2週間程度で自然に治ります。

Q 治療のために入院は必要ですか?

網膜光凝固療法も抗VEGF薬硝子体注射も入院は必要ありません。ただし、抗VEGF薬硝子体注射では注射翌日に感染や炎症の確認のため再度受診していただく必要があります。

Q 網膜光凝固療法にかかる費用はどれくらいでしょうか?

約36,000~57,000円(片眼、3割負担)です。

Q 抗VEGF薬硝子体注射にかかかる費用はどれくれいでしょうか?

 

1割 約20000円
2割 約40000円
3割 約60000円

検査料や薬代は含まれておりません。

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